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「無理のない、ちょうどいい距離感」 まちの視点からの、SEKAI HOTEL。

SEKAI HOTEL 大阪布施は、商店街の中に点在する建物を客室として使い、まち全体をひとつのホテルに見立てて運営する「まちごとホテル」。この取り組みは、ホテル単体で完結するものではありません。商店街の店主、建物の持ち主、地域住民の皆さまとの関係の上に成り立っています。

今回お話を伺ったのは、この布施のまちで長年暮らし、商店街とともに歩んできた渋川さん。地域の担い手の一人として、SEKAI HOTEL 大阪布施の取り組みを、少し離れた立場から見つめてきました。

渋川 了(しぶかわ さとる)さん プロフィール

東大阪・布施で土地と建物を代々受け継いできた家系に生まれる。約20年間の東京勤務を経て布施に戻り、現在は布施のまちで土地や建物の所有・運営を行っている。2023年よりSEKAI HOTELと協議を開始し、客室棟「N8. Doors」「N9. Doors」の所有者として、建物を宿泊施設へと転用するリノベーションに際し、出資を含めた形で協力している。

きっかけは、一本の紹介から

SEKAI HOTELのことを初めて耳にしたのは、不動産業者からの紹介でした。正直なところ、最初はそれほど強い印象はありませんでした。ですが、代表の矢野さんと直接会ってお話をする機会があり、どういう考えで、どんな事業をしようとしているのか、時間をかけて丁寧に説明を受けました。すぐに判断を下すようなことはせず、しばらくは距離を保ちながら様子を見ていた、というのが実際のところです。

長年このまちに関わってきて思うのは、「地域との関わり方」にはそれぞれの立場に合った距離感がある、ということです。

私自身は、東京で会社勤めをしたのち地元に戻り、土地所有者として商店街の中に身を置いています。商店街では、どうしても役割やつながりが求められることも多く、踏み込みすぎると身動きが取りづらくなることもあるんです。そういった意味で、矢野さんの距離の取り方には共感するところがありました。地域に入り込みすぎず、かといって離れすぎてもいない。無理のない距離感でまちと関わっていることに納得しました。

「ただのホテルではない」と思った日

印象に残っているのが、「Social Good 200」という取り組みです。宿泊費のうち200円を地域のために積み立てる仕組みを聞いたとき、これは単なる宿泊業ではない、まちの未来まで考えている人たちなんだと感じました。そういう姿勢には、どこか自分がこれまで続けてきたボランティア活動とも重なるものがあって。誰かのために、少しでも役に立てたらという気持ちで動いているのだろうなと感じたとき、SEKAI HOTELに対する見方が、少し変わったように思います。

今回、SEKAI HOTELが新たに客室棟を構えることになった場所については、実は僕のほうから声をかけました。といっても、特別な計らいをしたわけではありません。条件が合ったから貸した。それだけのことです。

長く空いていた場所に、ちゃんと目を向けてくれる存在が現れたことは、素直にうれしく思いました。

停滞していたまちに“変化の兆し”

商店街の中で、SEKAI HOTELについてどんな声があるのか、私のところまで直接届くことはあまりありません。ただ、外部の人と話すなかで、「布施のSEKAI HOTEL、テレビに出てましたね」といった言葉を耳にする機会が、以前より確実に増えてきました。 外の人と話していてSEKAI HOTELの話題が出たとき、自然とこう口にしているんです。「私も、協力している、関係者です」と。関わった場所が外から注目されているというのは、やはりうれしいものです。

そして、ふとまちを歩いていると、キャリーケースを引いた旅行客の姿や、宿泊者らしき人たちを見かけることがあります。ずっとどこか停滞していたように感じていたこの布施のまちが、少しずつ動き始めているような気がしています。

価値を見出す視点に、教えられること

SEKAI HOTELは、ポップでキャッチーな存在だと思っています。僕自身の感覚とは少し違うところもありますが、それが悪いとは思っていません。僕は、布施のまちにもっと若い人が来るようになってほしいと思っていて、そのためには、まずはきれいなまちであることが大事だと考えてきました。ですので、SEKAI HOTELには、そうした面でも期待している部分がありました。

実際に現場のスタッフさんと話してみると、宿泊に来ている方々は、僕らが古いと感じているものや、当たり前だと思っている日常の風景に、魅力を感じているようです。布施に長く住んでいる者からは、なかなか想像がつかなかった視点でした。そういう価値観を聞かせてもらったことは、とても新鮮で、ありがたい刺激になりました。

まちを変えていくのは、やはり若さや、新しい価値観でしょう。SEKAI HOTELの皆さんの行動力に、期待しています。