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布施のおすすめスポット

焼けた親鳥、深夜三時のぬくもり。【やきとり大|焼き鳥屋】

終電がとっくに過ぎた布施で、まだ炭は赤く灯っている。看板も控えめな「やきとり大」は、深夜3時まで火を絶やさない。
USJの余韻を引きずったままでも、急な飲み足りなさにも、応えてくれる場所。
焼き鳥とすだちにゅうめんと、少しのあたたかさ。都会の夜が終わる前に、ふと立ち寄りたくなる一軒がここにある。

スポット情報
やきとり大
住所 大阪府東大阪市足代新町3-12GoogleMap
電話番号 06-6785-0077
営業時間 17:00~3:00
土曜日|17:00~5:00
日曜日|17:00~0:00
定休日 祝日の月曜日
喫煙可否 喫煙可

炭火の匂いが、呼び止める

布施駅北口から歩いて5分。ネオンの奥に、ぽつんと光る暖簾。「やきとり大」は、気を抜いていると通り過ぎてしまうような店構えだ。でもその前で、炭の匂いに足を止めた人は、もう半分のれんをくぐっている。

深夜1時でも、テーブルには湯気と笑い声。焼けた皮がじゅっと鳴る音と、冷えたグラスがぶつかる音。
ここでは、夜がまだ生きている。

朝引きの“親もも”は、歯ごたえと余韻で勝負

「まずはこれ、食べてみてください」
そう言って出てくるのは「親ももたたき」。細かく刻まれた香味野菜と一緒に、噛むたび旨みがにじむ。脂っこくないのに、満たされる。それはたぶん、“朝引き”という鮮度の力だ。

もうひとつ、常連の間でも評判なのが「おやどりのカゴ焼き」。
炭の香ばしさがガツンと来て、噛めば噛むほど、親鳥らしいしっかりした肉質がひらく。柚子胡椒をちょっとだけ。それだけで、不思議ともう一杯頼みたくなる。

ピーマンと肉味噌の、ちょうどいい関係

串もいいけど、ちょっと箸休めしたい夜には「肉味噌ピーマン」がおすすめ。
パリッとした生のピーマンに、自家製の甘辛肉味噌を詰めるだけのシンプルさ。だけどそれが、びっくりするくらい合う。

食べると、口の中でジュッと音がしたような気がした。これは、“酔いながら食べたいおつまみ”ランキングがあるなら、上位間違いなし。

締めには、やさしさを少しだけ

「焼き鳥丼」も「つくね丼」も、がっつりいける系の満足感。
でも今日の締めは、「すだちにゅうめん」にしたい気分だった。

透き通ったスープに、やわらかい細麺。
すだちの香りがふわっと鼻を抜けて、さっきまでの脂や酒を、ゆっくり洗い流してくれる。つくねの出汁が、あとからじんわり追いかけてくる。

これはたぶん、飲みの最後に食べるものというより、夜に置いておきたい“記憶”だ。

だれでも、ふらっと来られる場所

カウンターで一人飲み。
掘りごたつでのんびり。
テーブルを囲んで笑い合うグループもいる。

気取らず、それぞれが好きな過ごし方をしている。
金曜・土曜の夜は特ににぎわうけれど、どこかゆるくて、静けさもある。

「やきとり大」ができたのは2019年。
オーナーのけんじさんと、店長のだるさんは、それぞれ別の店を営んでいた飲み仲間だった。だるさんが店を閉めることになったとき、けんじさんが言った。「一緒にやらへんか」そうして始まったのが、この店だ。

計画よりも、流れの中で自然に生まれた関係。肩肘張らない心地よさは、きっとそこから来ている。あれからずっと、二人は同じ炭火を囲んでいる。

最後のくいだおれが、じんわり残る

「やきとり大」は、布施の“終わらない夜”の、ちょうど真ん中にある。朝まで飲みたい人にとっての経由地であり、USJの帰り道にふと寄りたくなる寄り道でもあり、地元の人が“ここで一杯だけ”と立ち寄る居場所でもある。

焼き鳥の香ばしさと、にゅうめんのやさしさ。どちらかひとつではなく、その両方があること。そのバランスが、この店のいちばんの魅力なのかもしれない。

今日は帰るか。そう言いながら、もう一本だけ串を頼んでしまう──そんな深夜3時のしあわせが、ここにはある。

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