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お小遣いと、ちょっとの勇気をポケットに。【三ノ瀬ショップ|駄菓子屋】


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オレンジ色の看板に誘われて、ふらっと入った小さな店。その扉の向こうには、子どもたちの秘密基地みたいな空間が広がっていた。

駄菓子屋「三ノ瀬ショップ」は、三ノ瀬公園のすぐそば。色とりどりのお菓子に囲まれて、おっちゃんとのやりとりを楽しむ子どもたちの声が響いている。ここでは、ただお菓子を買うだけじゃない。数十円のお小遣いと、挨拶と、ほんの少しの勇気で、ちゃんと社会とつながっている気がする。

スポット情報
三ノ瀬ショップ
住所 大阪府大阪市生野区小路東6-7-3GoogleMap
電話番号 090-2195-3113
営業時間 8:00~18:00
定休日 なし

公園の前にある、小さな入り口

三ノ瀬公園の南筋。あちこち色褪せた街並みに、ぽつんと残るオレンジ色の看板。そこに白い文字で「駄菓子屋」と書いてある。

駄菓子屋なんて、最後に入ったのはいつだっただろう。そう思いながら、ランドセルを背負った子どもたちのあとをついて、小さな扉をくぐる。

店の名前は「三ノ瀬ショップ」。聞けば、店主のお母さんが始めたお店で、今はその息子さんが一人で切り盛りしているのだそう。

最初は閉めるつもりだった。けれど、子どもたちからの「辞めないで!」の声に背中を押されて、店を続けることに決めたのだとか。

どこか、家の居間のような、懐かしい空気が流れている。

子ども目線のディスプレイ

お菓子を選ぶ子供達

壁一面を埋め尽くすお菓子のパッケージたち。うまい棒に、ベビースター、クッピーラムネ。名前を見ただけで、舌の奥が甘酸っぱくなる。

「その棚の奥、見てみ」と店主に言われ、しゃがんでみる。すると、パッケージを模したラミネートや小さなキャラクターが、目線の高さにずらり。

大人の背からじゃ見えない場所に、子どもたちだけの小さな世界が広がっている。この店は、まるごと子どもたちの目線でできているのだ。

棚も陳列もDIY。手作りだからこそ、愛情が伝わってくる。「楽しんでほしいんですわ」と、少し照れくさそうに笑う店主の横顔が印象的だった。

 お小遣いと会話のキャッチボール

この店に来る子たちは、誰もが小さな財布を手にしている。100円、200円。親からもらったお小遣いで、何が買えるか一生懸命考える。

「おっちゃん、これ買ったらいくら残る?」
「あと40円やな」
「ほな、これと……あ、くじも引けるやん!」

そんなやりとりが、レジ前でひっきりなしに飛び交う。値段の表示もわかりやすく、くじ引きの仕組みもシンプル。店主は、ただお菓子を売るのではなく、「選ぶ」という体験を大切にしている。

選ぶこと、考えること。それは、きっと大人になる準備のひとつだ。

くじ引きという名のドキドキ

レジ横には、色とりどりの当たりくじが貼られている。どれも誰かが当てた小さな誇り。くじ引きは、ペットボトルのドリンクを買ったらおまけでついてくる。

当たれば50円、100円分の金券。当たらなくても、くじを開ける一瞬のワクワク感は、何にも代えがたい。

「俺、100円当てたことあるねん」そんな会話をしながら、くじを引く手が少しだけ震える。当たった子は、まるでヒーローみたいな顔で店を出ていく。

 見守るという仕事

駄菓子を選ぶ子供達

店主は、朝の8時から夕方6時まで、年中無休で店に立つ。見守っているだけじゃない。子どもたちに「挨拶」を教えるのも、大切な役割。

「入ってきたら、ちゃんと『こんにちは』って言わせますねん。最初は恥ずかしがってても、だんだん言えるようになるんです」その言葉に、ただのお菓子屋ではないこの場所の“価値”が詰まっている気がした。

駄菓子は、ほんの数十円で買えるものかもしれない。けれどこの店で子どもたちが手に入れているのは、金額にできないものばかりだ。

思い出を、もう一度手にとる

「こんなお店、まだ残ってたんやな」そう言いながら、大人たちがふらりと入ってくることもあるらしい。

お菓子の棚を眺めながら、遠い記憶を探すように目を細めるその背中。きっと、自分の中にある「駄菓子屋での時間」と重ね合わせているのだろう。

小さな頃に覚えた味、声、匂い。それは記憶の奥で、今もまだ甘く響いている。

あとがき

三ノ瀬ショップ店前で佇む家族の様子

駄菓子屋「三ノ瀬ショップ」は、ただ懐かしい場所じゃない。地域の子どもたちにとっての“学校以外の学校”であり、大人たちにとっては心をふっとほどいてくれる場所でもある。

次に布施を訪れたときは、ぜひ三ノ瀬公園の前で、あの看板を探してみてほしい。お小遣いと、ちょっとの勇気をポケットに。きっと、あの日の自分に会えるから。

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