布施には、古き良き喫茶店がまだたくさん残っている。
けれど、「FUJI CAFE」の朝は、ちょっと違う。
光が差し込む白い店内、湯気立つトースト、甘いレモネード。
隣の金太郎パンから届いた焼きたての香りと一緒に、新しい一日が始まっていく。
下町にふわりと差し込んだ、新しい風の正体を、のぞいてみた。
からだと心に、無理なく過ごせるカフェ。
布施駅から歩いてすぐ。いつも人通りの絶えない商店街の一角に、すっと白く、整った姿でたたずんでいるのが「FUJI CAFE」。
古い喫茶店が軒を連ねるこの町で、このカフェはちょっと異色かもしれない。けれど、その“違い”が、布施の日常にやさしく馴染んでいるように思える。
ふらりと立ち寄った朝の時間。窓際の席には、小さな子どもとママ。反対側では、仕事前らしき男性がひとりで新聞を読みながら、トーストにかじりついている。
そのどちらにも、無理がなくて、いい。
いつもの朝に、プロのひと手間
FUJI CAFEの朝は、となりの「金太郎パン」なしには語れない。
100年以上この町で愛されてきた老舗のパン屋から、毎朝届く焼きたてパン。
これが、ピザトーストや、エビグラタントーストになったりする。
さらに、トーストのソースは全て手作り。
定番のピザソースも、トマト、玉ねぎ、にんにくをコトコト1時間煮込んで作られているから、お家では味わえないコクが出る。
よくあるセットと言ってしまえばそれまでだけど、どこか品があって、ちゃんと温度がある。
ひとくち目から、今日をきちんと始めたくなる味だ。
レモネードで、朝のスイッチを。
FUJI CAFEでぜひ試してほしいのが、自家製レモネード。
アイス、ホット、ソーダと、気分に合わせて選べるのがうれしい。
しっかり甘く漬け込まれたレモンのスライスが、ごろっと入っていて、見た目もどこか愛嬌がある。
朝のぼんやりした頭を、やさしく目覚めさせてくれるような、ちょうどいい酸味。
テーブルに置かれた瞬間、すっと気分が軽くなるような一杯だ。
野菜も主役な、ちゃんとごはん
朝だけじゃない。ランチの時間も、このお店はにぎわっている。
特に週末は、ママ友グループや家族連れが多くて、予約していくのが安心かもしれない。
ランチプレートには、選べるメイン(エビマヨや白身魚の黒酢かけなど)に、3種類の小鉢、雑穀米。
健康的で、彩りがあって、ボリュームもちょうどいい。
「ちゃんと食べたな」と思える満足感が、ここにはある。
気がつけば、話が弾んで、つい長居してしまう。
それもまた、この場所の魅力かもしれない。
子どもと一緒に、のんびりと
布施の古い喫茶店は、たばこOKのところも多く、子連れではなかなか入りづらい。
だけどFUJI CAFEは、完全禁煙。ソファ席も広くて、キッズチェアもちゃんとある。
誰かが飲み物をこぼしても、スタッフさんがさっと笑顔で対応してくれる。
そういうやさしさの積み重ねが、ここを「また来たい場所」にしている。
布施に、新しい“いつもの場所”
カフェというより、「朝を整える場所」と言いたくなる。
パンの香り、やさしい甘さ、居心地のいい空気。
それはもしかすると、特別なものじゃなくて、日常にこそ必要な風景かもしれない。
FUJI CAFEは、布施にとって“新しい顔”のひとつ。
だけど、気づけばこの町の日常のなかに、するりと溶け込んでいる。
そしてきっと、今日も誰かの「いい朝」になっている。