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ひとりぶんの居場所に、ふたりの手仕事【喫茶フタゴ|喫茶店】

布施駅から歩いて7分。商店街のにぎわいを抜けた住宅街の一角に、そっと息をひそめるように佇む「喫茶フタゴ」。

会話よりも、思索や読書に寄り添う場所。控えめな佇まいのなかに、ふたりの店主が育んできた、静かであたたかな空気が流れています。

ちょっと多めのお願いごとも、この空間を保つためのやさしい仕掛け。静けさが好きな人にだけ、そっと開かれた場所です。

スポット情報
喫茶フタゴ
住所 大阪府東大阪市荒川1丁目5−13GoogleMap
営業時間 9:30~18:00
定休日 月・火・金曜日
喫煙可否 禁煙

暮らしの延長にある静けさ

喫茶フタゴ|外観

色褪せた赤い木の扉に、ちょっとだけ勇気を出して手をかける。布施駅から歩いて7分。賑やかな商店街の裏手、住宅街の角に現れるのが「喫茶フタゴ」。

ガラス戸はやわらかなガーゼで覆われているから、中の様子はわからない。でも、だからこそ、この場所に一歩足を踏み入れるときの静けさに、心がすっと整う。

店内|テーブル席

店内は、ひとり席が5つ、ふたり席が3つ。

「おしゃべり目的のご利用はご遠慮ください」。
そんな静かなお願いが、入り口の紙にそっと書かれている。

店主ふたりからのメッセージ

でも、それは排除じゃなくて、思いやりのかたち。同じ空間にいても、それぞれの時間を大切にしてほしい——そんな気配が、空間の隅々から伝わってくる。

音のない時間に、耳を澄ませる

店内|本棚の様子

「喫茶フタゴ」を営むのは、双子の姉妹。名前の由来も、そこから。

控えめなBGMと、生活の音だけがやさしく混ざる。氷がグラスに当たる音、トーストを頬張る小さな咀嚼、ページをめくる指先のリズム。

誰かと時間を共有していることが、音から感じられるって、なんだか不思議だ。その空気のなかに身を置くと、自分の輪郭がふんわりと和らいでいくような気がする。

あんことバター、ふたりの甘やかし

朝から終日楽しめる2つのトーストセット。

Aセットは、プレーンなバタートーストにゆで卵といちごジャム。

Bセット|自家製あんことバターのトースト

そして人気のBセットは、自家製あんことバターのトースト。

ひと口サイズにカットされたパンには、片面にあんこ、もう片面はバターがじゅわーと染み渡っている。その絶妙な配置が、見た目にも楽しく、味のバランスも抜群。

Bセット|自家製あんことバターのトースト

甘さに塩気が重なるあの一口。どこか懐かしいような、でもちゃんと新しい幸福感がある。

たまごサンドの、やさしい警告

たまごサンド

もうひとつの人気は、たまごサンド。とろとろの半熟たまごに、少し酸味のあるマヨネーズ。

「卵がやわらかいので、すべらないように気をつけてくださいね」そんな声掛けにすら、ふたりの店主の気遣いが滲む。

食べる人の時間まで、ていねいに包もうとするような、やわらかなまなざし。

今日の甘さに、また会いたくなる

本日のおやつ|メニュー

もう少しだけ甘いものがほしいときは、週替わりの“今日のおやつ”を。

この日のメニューは、濃厚なバスクチーズケーキと、11:00から提供されるカラメルミルクレープ。

ラメルミルクレープ

カスタードと生クリームを重ねたクレープに、上からかかったカラメルのほろ苦さが絶妙で、大人向けの一皿。

丁寧にクレープを焼き上げるぶん、少し遅れて登場するのもまた、期待を膨らませる演出のように感じられます。

ラメルミルクレープ

Instagramでその日のおやつをチェックするのも、ちょっとした楽しみになる。

「また来よう」と思わせてくれるのは、味だけじゃない。

この空気に、もう一度包まれたくなるから。

旅先で出会う、静けさのごほうび

店内|本棚の様子

もしここが、旅の途中だったとしたら。喫茶フタゴのような空間に出会えることは、きっとちょっとした奇跡だ。

知らない街で、誰かの暮らしの延長にふれること。

それは、観光でも買い物でもない、もう少し深い旅の記憶になる。

店前|小さなOPENの看板

どこにでもありそうで、ここにしかない静けさ。ひと息つくだけのつもりが、なぜか心の奥に残ってしまう——そんな時間がここにはあります。

ふたりで営む、ひとりぶんの静けさ。「喫茶フタゴ」は、静かな人たちのための、ちいさな港のような場所かもしれません。

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