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喧騒を抜けて、アフタヌーンティーの森へ【The FAERIE PATH TEA ROOM|紅茶専門店】

布施戎神社の鳥居をくぐり、商店街の喧騒を抜けた先にある細い路地。その奥に、物語のなかに入り込んだような、小さな紅茶室がひっそりと佇んでいる。

「The FAERIE PATH TEAROOM」。ここでは、ティーカップの湯気とともに、自分の中の静けさが、ゆっくりと立ち上がってくる。

季節は梅雨。紫陽花が咲き誇る朝、私はこの場所で、紅茶と、自分に、出会い直していた。

スポット情報
The FAERIE PATH TEA ROOM
住所 大阪府東大阪市足代1-21-22GoogleMap
営業時間 9:00~17:00
定休日 月・火・水曜日
喫煙可否 禁煙

小道の奥に、物語の扉があった

The FAERIE PATH TEA ROOM|外観

朝9時。まだ人通りの少ない布施の町で、ひとり路地を歩いていた。布施戎神社の正面から、小さな看板を頼りに右手へ。

くぐるような小道の先に「The FAERIE PATH TEA ROOM」がある。絵本のワンシーンのような佇まい。紫陽花が雨の名残をまとい、足元をやさしく彩っていた。

The FAERIE PATH TEA ROOM|店内

ガラス越しに差し込む光。静けさをたたえた4席だけの空間。商店街の賑わいが、嘘のように遠ざかっていく。

紅茶とだけ、向き合う時間

ティーポットとティーカップ

このお店では、コーヒーもジュースも置いていない。あるのは紅茶だけ。それも、常時25種類以上という本格派。

店主はティーアドバイザーの資格をもち、注文を受けてから丁寧に茶葉を選び、抽出のタイミングまで計算して淹れてくれる。

店主手作りのティーコージ

特徴的なのは、ポットの中に茶葉が入っていないこと。あえてベストなタイミングで茶葉を抜いた“出来上がり”の状態で提供されるから、最後の一杯まで雑味なく、香り豊かに味わえる。

3杯分の紅茶は、店主手づくりのティーコージをかぶせて保温され、時間とともにまろやかさを増していく。

店内|紅茶の数々

「ここに来たら、紅茶と向き合ってほしいから」と話す店主の言葉が、この空間に静かな緊張感を与えている。

2時間だけ、自分の感覚に耳を澄ませて、紅茶と向き合う。そんな贅沢を、ここでは当たり前のように味わえる。

お茶には、相棒がいる

プレーンスコーン

「ここに来たら、紅茶と向き合ってほしいから」と話す店主の言葉が、この空間に静かな緊張感を与えている。

2時間だけ、自分の感覚に耳を澄ませて、紅茶と向き合う。そんな贅沢を、ここでは当たり前のように味わえる。

キャロットケーキ

この日はキャロットケーキを選んだ。ほんのり香るシナモン、胡桃の歯ざわり。濃厚なミルクティーとの相性が、思わずため息が出るほど良かった。

ティータイムセット

「ティータイムセット」は、スコーン、ケーキ、ビスケットがひとつずつ。小さなプレートの上に、夢がぎゅっと詰まっている。手の届くアフタヌーンティーって、こういうことかもしれない。

紅茶の完成は、たくさんのフードと

ティータイムセットと紅茶

「紅茶って、コーヒーと違って、たっぷりのフードと一緒に味わうと、よりおいしさが引き立つんです」

そうにこやかに話してくれたのは、紅茶室をひとりで営む店主・辻元さん。やわらかな口調とおだやかな笑顔が、この空間の空気をそのまま映しているようだった。

イングリッシュミルクティー

香りに包まれて、一口ごとに気持ちがほどけていく。なんでもない時間なのに、心がふわっと軽くなる。

ここで過ごす時間は、そんな風に“ちゃんと自分に戻れる”ひとときなのだと思う。

自分に戻るための、静かな通路

The FAERIE PATH TEA ROOM|店前にある黒板

4席だけの店内は、週末の午前中にはすぐに埋まってしまうこともある。ひとりで切り盛りするからこその丁寧な仕事と、ゆったりと流れる時間。

誰かに教えたくなる。でも、本当は誰にも知られたくない。このお店に通うたび、そんな矛盾した気持ちが静かに心を揺らす。

それくらい、大切にしておきたい場所だと思っている。

店内にある時計

ここに来ると、“ああ、こういう時間が、自分には必要だったんだ”って素直に思える。スマホを置いて、湯気のたつカップを見つめるだけの時間。甘い香りに包まれて、ただ静かに呼吸する時間。

そんな当たり前のことが、思っていた以上に、心を整えてくれる。

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