布施の町で、ちょっといい夜を迎えたいとき。ふと思い出すのが「西光園」だ。
駅から5分、商店街の先にどんと構えるその姿は、昔から変わらずこの町に馴染んでいる。国産和牛の旨みを、家族や仲間と囲む時間ごとじっくり焼く。特別すぎないけど、ちょっと嬉しい。そんな焼肉屋が、今日も変わらず火を灯している。
住所 | 大阪府東大阪市足代南1-3-12GoogleMap |
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電話番号 | 06-6724-2919 |
営業時間 | 11:30~14:30,17:30~22:00 |
定休日 | なし |
喫煙可否 | 禁煙(店前に灰皿あり) |
たどり着く前から、焼ける匂いがごちそうだ
布施駅から歩いて5分。アーケードを抜けた頃、少しだけ焼けた香りが風にのってくる。
吸い寄せられるように歩いていくと、目に入るのが「西光園布施店」の堂々とした看板。
店内に入ると、明るくて開けた空間が広がっている。掘りごたつのテーブルがずらりと並び、空間には適度な距離感。個室じゃないのに、自分たちだけの時間に自然と入り込める。
照明はきちんと明るいのに、どこか落ち着く。作りすぎてない、そのバランスがちょうどいい。
子ども連れでも、仲間同士でも、ひとりでも。誰が来ても、ちゃんと受け止めてくれる空気がある。
肉を焼く時間が、ごほうびになる夜
席についてメニューをめくると、どの肉も国産和牛。ちょっと高い。
でも、ちょっとのごほうびとしては、うってつけだと思う。
まずは「タン塩」。薄くて、やわらかくて、でもちゃんと歯ごたえがある。網にのせて少し炙って、レモンをきゅっと。
最初の一枚がうまく焼けたときの、あの高揚感。
焼肉って、味だけじゃなく“焼く時間”まで含めてごちそうなんだと思う。
「特選ハラミ」も忘れたくない。脂がほどよくて、じゅうっと焼ける音が、なんだか心をほどいてくれる。
チシャに巻いてもいいし、ごはんにのせて“焼肉丼”にしてもいい。甘めの特製ダレが、ごはんとの相性を計算したように馴染んでくる。
サラダとわかめスープも、自分で選んで“定食”みたいに仕立てると満足感が増す。
好きな肉に好きな付け合わせ。自分なりの正解を見つける楽しみが、ここにはある。
そして締めは、手打ちの冷麺。コシのある麺に、ほんのり甘酸っぱいスープがすっと染みる。
焼肉の余韻を、きれいにまあるく終わらせてくれる。
声をかけすぎない、でもちゃんと見てる
焼肉屋って、にぎやかで慌ただしい場所っていうイメージがある。でもここは、どこか静けさがある。
スタッフは、必要なときにだけそっと近づいてくれる。呼び鈴を押したらすぐに来てくれて、焼き加減を気にしてくれる。
押しつけじゃない、見守るような距離感。
麦茶がピッチャーで運ばれてくるのも、さりげなくていい。
お酒を飲まない人や、家族連れにもやさしい配慮。あたりまえのようで、意外とありがたい。
その焼肉は、記憶と一緒にあった
「今日は西光園にしよか」
そんな一言で、何度も始まってきた夜がある。
誕生日、合格祝い、親戚が集まるお正月。ちょっとした節目に、この店の名前が自然と浮かんでくる。
東大阪にいくつか店を構えるけれど、どの町の西光園も、暮らしの中にちゃんと根を張っている。
布施の町で、焼肉といえばここ。そう思っている人は、たぶん少なくない。
今日の夜に火を灯す場所
特別すぎず、でもちゃんと嬉しい。西光園の焼肉は、そんな場所の象徴かもしれない。
焼ける音が会話みたいに響いて、煙の向こうに笑い声がある。
焼肉って、ただの食事じゃなくて、小さな記念日なんだと思う。
その記念日が、今日の夜にもそっと灯っている。ここ、布施で。