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布施のおすすめスポット

「リカちゃんやトミカ」昭和のおもちゃ屋をこえた“まちの学び場”【カツラヤ|おもちゃや】


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東大阪・布施の町角に、ちいさなおもちゃ屋がある。「カツラヤ」。本町通と二条通の交差点に、もう65年(2025年現在)。

リカちゃん、トミカ、そして市松人形──ショーケースの中には、時間を閉じ込めたような光景が並ぶ。大人も子どもも、なぜか立ち止まり、そっと見入ってしまう。

この場所だけ、ずっと昭和の空気が流れているような気がする。

スポット情報
おもちゃ館 カツラヤ
住所 大阪府東大阪市足代1-12-28GoogleMap
電話番号 06-6721-2128
営業時間 不定
定休日 不定(Instagram公式アカウントをご確認ください)

看板の向こうにある時間

布施駅から本町フラワーロードを抜けて、二条通商店街へと差しかかる、その角に見えてくるのが「おもちゃのカツラヤ」だ。

アニメのキャラクター、遊覧船の絵、そして色あせた市松人形。赤、黄、青の看板に、手描きのレトロなイラストが並んでいる。はじめて見るのに、どこか懐かしい。この店構えを前にすると、不思議と足が止まってしまう。

ショーケースの中には、リカちゃんや仮面ライダー、ミニカー、アニメグッズ。店の外にも、駄菓子屋のように吊るされたおもちゃがぎっしりと並んでいて、「こっちだよ」とでも言うように、こちらを見つめてくる。

この風景だけ、ずっと時間が止まっているような気がする。変わっていく布施の町の中で、ここだけは、変わらないままでいてくれる。

ガラス越しのロマン

誘われるように中へ入ると、 ぎゅっと詰まった“宝物の匂い”がする。正面のショーケースには、整然と並ぶトミカのミニカーたち。その横には、リカちゃん人形の華やかな箱たち。棚の上段には、きもの姿の市松人形が、静かにこちらを見つめている。

懐かしい、だけじゃない。お父さんが子どもの頃に遊んだおもちゃを、いまはその息子さんが見つめている。そんなふうに、いくつもの時間が、同じ棚の上で重なっている。

「これ、昔持ってたかも」「お父さん、これ見て!」

そんな声があちこちから聞こえてくる。子どもが夢中になるのはもちろん、大人の目も、どこかうるんでいる。

小さな手の買い物

「おっちゃん、76ばん!」

自分で選んだお気に入りを、しっかりと覚えて声にする。お金を握りしめた小さな男の子が、レジの奥にいる店主に声をかける。

「〜〜円やで。ゆっくり数えてみ?」

優しくそう声をかけるのは、3代目店主の前川さん。お会計も、商品を袋に入れるのも、時間をかけて、ていねいに。子どもたちは、ここで“買い物”を通して、大事なことを学んでいく。

――お金の使い方。
――自分で決めること。
――ありがとうの言葉。

ただのおもちゃ屋、じゃない。ここは、“まちの学び場”のようでもある。

家業と、まちづくりと

3代目・前川さんは、もともと都市計画を学び、公務員として働いていた。しかし、心のカゼをひいて家業を継ぐことをなったとのこと。今では本町通商店街の会長として、町のこれからにも深く関わっている。

店の奥には、「店主の本棚」と書かれた木箱。そこには、まちづくりや商店街の本がずらりと並ぶ。

子どもたちに夢を売るこの場所が、同時に、地域を支える“まちの知恵袋”でもあるなんて、ちょっと素敵じゃないだろうか。

魔法みたいな場所

最近は、毎日営業はしていないという。でも、シャッターが開いているのを見かけたら、つい予定がなくても立ち寄ってしまう。

なぜかって?買うつもりがなくても、見たいものがあるから。会いたい空気があるから。

ガラス越しのリカちゃんやトミカたちが、今も静かに佇んでいる。まるで、子ども時代の記憶を、そっと守ってくれているように。

“時間が止まっている”って、ほんとは褒め言葉なんだと思う。この場所を出たあと、少しだけやさしい気持ちになれるから。

――それが、カツラヤの魔法。

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