布施駅の南、アーケードを抜けた先に、ひっそりと光る「深海」の看板。その小さな文字に誘われて階段を下りると、街の喧騒がふっと遠のく。地下一階に広がるのは、活気の中にも温かさのある食卓――魚の香りと湯気が迎えてくれる。
夜は笑い声の絶えない居酒屋。けれど、昼に訪れるとまた違う表情を見せる。八つの小鉢に込められた手仕事が、今日も誰かの午後をそっと満たしている。
| 住所 | 大阪府東大阪市長堂1-1 布施南ビル地下1階GoogleMap |
|---|---|
| 電話番号 | 06-4981-7599 |
| 営業時間 | 11:30~14:30、17:30~0:30 |
| 定休日 | 月曜日 |
| 喫煙可否 | 喫煙可能 |
地下一階の“まかない”みたいな定食

布施駅から歩いてすぐ。商店街の喧騒を少し外れたビルの地下1階にある「深海」。夜は焼酎を片手に魚をつつく大人の隠れ家だが、昼は一転、定食を求める人でいっぱいになる。

正午前、制服姿の人や買い物帰りの主婦が、階段を静かに下りてくる。いつの間にか店内は満席。

テーブルを軽やかに回るスタッフの手際がよく、注文からまもなく湯気の立つ定食が運ばれてくる。あっという間にお盆が並び、店内にふわりと出汁の香りが広がった。
八つの小鉢が並ぶ昼膳。

「小鉢定食ください」。その一言で、お盆にぎゅっと並ぶ八つの皿が運ばれてくる。
鯛のづけの上品な旨み、青のり香るちくわの磯辺揚げ、サクッと揚がったなすの挟み揚げ。酢の物、香の物、卵焼きと続く。どれも少しずつ、けれど一品ずつ丁寧に作られているのが伝わってくる。

ふっくらと炊かれた白ごはんに、湯気立つあら汁。「小骨、多いんで気をつけてくださいね」と笑う店員の声が、やけにあたたかい。
ひと口ごとに、ほっとする。そんな昼ごはんだ。
「午後からも、頑張れそう」って思える昼ごはん

小鉢定食は数量限定。売り切れる日も多いが、「今日はまだありますよ」の声にほっとする。ごはんの大盛りもおかわりも無料。
「お腹いっぱいで帰ってもらうのが基本です」と笑う店主。誰かがちゃんと作ってくれたごはん――その温度が、午後の活力になる。
夜は、また別の顔。

夜の「深海」は、仕事帰りの客が集う、にぎやかで温かな居酒屋。カウンターにはボトルキープの焼酎や日本酒がずらりと並び、常連たちの笑い声が絶えない。

店主はその日の“いい魚”を見極め、夜にはそれを刺身や煮つけ、焼き魚に仕立てる。余計な飾りはなく、ただまっすぐに美味い。そんな潔さが、この店の一番の魅力だ。
地下一階で、今日も変わらない定食を

控えめな看板の下で、今日も“いつもの昼ごはん”が待っている。誰かの生活に寄り添うような、懐かしくて、あたたかい味。布施のまちの一角、地下一階の少し深いところにて。