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布施のおすすめスポット

この三日間の布施は、ちょっと誇らしげだ。【十日戎|布施戎神社】


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商売のまち・布施には、まちの真ん中でずっと見守ってきた“えべっさん”がいる。普段からにぎやかなこのまちが、さらにもう一段ギアを上げるのが、1月9・10・11日の「十日戎」。

布施戎神社を中心に、太鼓が鳴り響き、「商売繁盛で笹持ってこい〜♪」の音頭が流れる。参拝の列、福娘の声、屋台の湯気、福笹を抱えて歩く人の背中。そのどれもが、少しうれしそうで、ちょっとだけ誇らしげ。

「これが始まらな、1年が始まった気せぇへん」そんな空気のなかで、布施の一年が静かに動き出す。

スポット情報
十日戎(毎年1月9日、10日、11日)
住所 大阪府東大阪市足代1-15-21GoogleMap

まちの真ん中に、えべっさんはおる

七福神のひとり、えびす様。商売繁盛の神様として、全国のまちに根づいている。ここ布施でも、その存在はまちのど真ん中にある。

「布施戎神社」ができたのは昭和29年。戦後、商店街近くの空き地を前に、「ここにまちの象徴を」と町の人が声を上げた。西宮神社から御神体を迎え、小さな木造の社が建てられたのが始まりだ。

当時は知名度もなく、ひっそりとした神社だった。けれど、商いのまち・布施にとって、“えべっさんがここにいる”という安心感は、少しずつ根を張っていった。

神社を育てたのは、まちの人たち

やがて、商店街の人々が神社と深く関わるようになった。「布施の顔にしよう」「まちの誇りにしたい」——そんな想いから、福娘コンテストも始まった。

最初は「ほんまにやるん?」と半信半疑だったが、今宮戎を参考にしながら、地元流の取り組みが生まれていった。

 

気づけば2026年で43回。えべっさんの季節になると、福娘が神社に立ち、参拝客と笑顔を交わすのが当たり前の光景になった。

まちの人の想いと、神社の営みが重なって、布施戎神社は少しずつ、まちにとってかけがえのない場所になっていった。

一年でいちばん熱を持つ、三日間

1月9日「宵戎」、10日「本戎」、11日「残り福」。布施戎神社には、三日間でおよそ10万人が訪れる。

商店街には「商売繁盛で笹持ってこい〜♪」の音頭が流れ、スピーカー越しのリズムに混ざって、福娘たちの声が境内を明るく染める。「おめでとうさん」「今年も頼んまっせ」——あちこちで交わされる声が、まちをひとつにしていく。

境内には、参拝客の列。神前に進んで手を合わせると、背中に入っていた力が、すっと抜けていく。「今年も、どうぞよろしくお願いします」と、静かに心のなかでつぶやく。

そして、十日戎と年始の時期にしか引けない“幻のおみくじ”をひとつ。末吉でも、内容が良ければ「これは実質大吉やな」なんて笑いながら、くくりつける手元に願いがにじむ。

お参りを終えたら、すでに飾りが付いた福笹を受け取る。選ぶでも飾るでもなく、受け取って、持って帰る。その所作が、布施ではもうすっかり馴染んでいる。

そしてアーケード街へ出れば、唐揚げ、たこ焼き、ベビーカステラと、屋台の香りが道いっぱいに広がっている。あたたかい湯気に包まれながら、祭りの賑わいはゆっくりとまちを染めていく。

これは布施にとっての“年初め”

「えべっさんが来んと、年が始まった気せぇへん」そんな言葉が、このまちではごく自然に交わされる。

福をもらうというより、「今年もこの場所で、やっていこう」と気持ちを整える時間。新しい目標よりも先に、暮らしのリズムを取り戻すような三日間。

年齢を問わず、えべっさんの前に立てば、自然と、気持ちがしゃんとする。この三日間は、布施というまちが、自分自身に気合いを入れる日でもある。

ふらっと立ち寄って、この空気に触れてみてほしい

朝は参拝、昼は人の流れを眺めながら商店街をぶらり。夕方には、ちょっと寒さにふるえながら、あたたかいおでんと熱燗で一息。

観光というより、“まちの暮らしの中に混ざる”ような感覚。そんな時間が、このまちには流れている。

布施戎神社は、地元の人が誇りを込めて育ててきた場所。この三日間に出会えたなら、それは小さな福かもしれない。

気づけばあなたも、笹を抱えて帰っているかもしれない。

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