暖簾をくぐると、ふわりと懐かしい匂いがした。オレンジ色の看板が目印の「海鮮居酒家 房(ふさ)」は、アーケードを抜けた広小路南商店街にある。料理はどれもちゃんと手がかかっていて、だけど気取ってない。
話し上手な女将さんと、料理上手な房さんがつくるこのお店は、居酒“屋”じゃなくて、居酒“家”。「ここは、みんなの“家”になればいい」そんな願いに、もうたくさんの人が帰ってきてる。
| 住所 | 大阪府東大阪市足代南1-11-6GoogleMap |
|---|---|
| 営業時間 | 17:00~24:00 |
| 電話番号 | 06-6727-7786 |
| 定休日 | 水曜日、第三火曜日 |
| 喫煙可否 | 禁煙 |
| SEKAI PASS特典 | 「大将!いつもの」のセリフで、おすすめ一品プレゼント |
あの看板の下に、人が集まる理由

布施駅から、にぎやかな商店街を抜けて住宅街へ。静かな通りにぽつんと現れるオレンジ色の看板。「海鮮居酒家 房」――どこか親しみのある佇まいに、足を止める人も多い。

ドアを開ければ、店内はレトロな懐メロが流れ、壁一面に手書きのメニュー。カウンターには、黙々と湯気の立つ料理をつつく常連さん。誰かの実家にふらっと帰ってきたような、そんな空気がここにはある。
“寿司職人”が握らない理由

店主の房(ふさ)さんは、元寿司職人。手間ひまを惜しまないその料理は、どれを食べても「おいしい」としか言えなくなる。
でも、なぜ寿司一本ではなく、居酒屋を選んだのか。「もっと気軽に、たくさんの人に食べてほしかってん」
その言葉通り、刺身や握り寿司だけじゃない。季節ごとの小鉢、焼き物、揚げ物、そしてなぜかミートソーススパゲッティまで。

家庭料理のようで、でも家庭では出てこない味。毎日仕込むという手作りシュウマイは、ほとんどのお客さんが頼むという定番中の定番。
秋には鱧や松茸、冬にはおでんや小鍋。「お腹いっぱい」って笑いながら、ついもう一品頼んでしまう魔法がある。
メニューに込められた、会話のあと

ところでこのお店、メニューがやたらと多い。その理由を聞けば、房さんは少し笑ってこう言う。「常連さんのリクエストを聞いてたら、こんなことになってしもてな(笑)」
一度消えたカレーうどんが、また誰かの声で復活したり。“商品開発”じゃなく“関係づくり”で増えていった品々。そのひとつひとつに、誰かとの思い出が詰まっている気がする。
女将さんは、町の“おかあさん”
カウンターの向こうには、女将さんの笑顔。世話焼きで、話し好きで、でも決して押し付けがましくない。

「今日は寒いねえ」「これ、うちのおすすめよ」そんな一言が、なぜだかホッとする。初めての人も、たぶん緊張しない。「迷ったら、聞いたらいいよ」って空気がある。
房さんが料理であたためて、女将さんが言葉でほどいてくれる。この夫婦のあったかさに、つい甘えてしまう人が後を絶たない。
SEKAI HOTEL Fuseの“夕ごはん”にも

実は「海鮮居酒家 房」は、SEKAI HOTEL Fuseの夕食会場でもある。宿泊者限定の特別メニューは、ホテルスタッフが厳選した“房らしい”コース。
旅人にも、この町の人にも、垣根はない。同じカウンターで、同じお酒を飲んで、誰かと笑い合う。それが“布施らしさ”なのかもしれない。
「ただいま」が言える居酒“家”

最後に、気になる店名の話。なぜ「居酒屋」じゃなく「居酒家」なのか?
「ここを、みんなが集まる“家”にしたかったんよ」そう房さんが言えば、女将さんが「私もそのつもりやで」と笑う。
肩肘張らず、今日の疲れをふっと置ける場所。うるさくないのに、あたたかくて、どこか懐かしい。

それぞれの日々の続きを、ここでひと休み。「ただいま」と言えば、「おかえり」が返ってくる。そんな居酒“家”が、布施にはちゃんとある。