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布施のおすすめスポット

出前箱と笑い声「しっぽり」じゃない方のお寿司屋。【花月寿司|寿司屋】

布施駅北側、ブランドーリのアーケードを歩くと、不意に視界の隅に赤い文字が灯る。白地の暖簾に染め抜かれた「花月寿司」の文字。そして横には、年季の入った出前自転車。のれんの向こうから聞こえてくる「へいっ!いらっしゃい!」の声が、通りの空気を少しだけやわらかくする。観光でもグルメサイトでもない、でも確かに“うまい寿司屋”が、ここにはある。

スポット情報
江戸前にぎり 花月寿し
住所 大阪府東大阪市足代新町4-18GoogleMap
電話番号 06-6781-2849
営業時間 16:00~23:00、日|14:30~23:00
定休日 月曜日
喫煙可否 禁煙

暮らしの風景に、寿司屋が溶けている

布施駅の北口を出て、ブランドーリ1番街のアーケードを抜ける。パチンコ屋の明かり、焼鳥の煙、道端の立ち話──

そんな布施らしいざわめきの中に、ひときわ落ち着いた存在感で佇むのが「花月寿司」だ。

のれんを見つけたときから、すでに空気が変わる。出前箱を積んだ黒い自転車と、それを押す職人の姿。もうそれだけで、ここが“ちゃんと続いてきた場所”だとわかる。

観光客の足ではなく、日々の暮らしに根ざした、まちの寿司屋。

「へいっ!いらっしゃい!」に、空気ごと包まれる

のれんをくぐると、大将の声が店中に響く。

「へいっ!いらっしゃい~~~!」

という威勢のいい一声に、カウンターの空気が揺れる。それだけで、客も店も、ちょっと笑顔になる。

店内は奥に細長く、木のカウンターと小さなテーブル席。壁には木札で書かれた品書きが並び、水槽には今夜のネタたちが静かに泳いでいる。

肩肘張らず、だけど手は抜かない。そんな空気が、椅子に座るだけで伝わってくる。

にぎわいごと味わう“正しい寿司屋”

この日は一人で晩酌をする男性、家族で楽しむグループ、隣のテーブルでは夫婦らしきふたりが静かにグラスを傾けていた。みんな違うテンポで、でも同じ空気を分け合っている。

ここには「しっぽり」は似合わない。にぎやかさも、寿司のうち。

ネタは毎日変わるけれど、注文に迷ったら「上にぎり」(1,580円)が正解。

まぐろ、はまち、たい、えび、いくら、うなぎ──すべて一貫ずつ、握りも大きめ。ハケで軽くたれを塗る大将の所作にも、年季が滲む。

茶碗蒸しは出汁の香りがふわりと立ちのぼり、8種の具もごろっとして食べ応えがある。

赤だしを添えて、チューハイを一杯。赤だしは、あさり、魚、卵から選べるのも嬉しいところ。どれを選んでも、寿司の余韻をふわりとやさしく包んでくれる。

寿司は、好きなものから食べればいい

順番なんて、気にしない。好きなものを、好きな順で食べればいい。芽ネギから入っても、うなぎで締めても、誰も気にしない。ここでは“お作法”よりも、“食べたい気持ち”が正解になる。

だからこそ、誰にとっても「いい寿司屋」でいられるのかもしれない。

評価じゃなく、信頼で続いてきた

この店には、誰かに評価されるためじゃなく、まちと一緒に時を重ねてきた確かな「信頼」がある。
特別な日に行く場所じゃなくて、気がつけばまた戻ってきている──そんな店。

のれんをくぐれば、大将の声と、いつものカウンター。そして、食べたかったものが、いつものように目の前に並ぶ。

うまい、だけじゃない。あたたかい、懐かしい、気持ちがほどける。そういう全部が、ここにはちゃんとある。

布施で「寿司が食べたい夜」に

布施の夜は、ちょっと雑多で、ちょっとあったかい。そのなかで「花月寿司」は、ひとつの定点のように存在してる。ふらっと一軒目に。飲んだ帰りの締めに。どこに置いてもしっくりくる。

寿司屋って、もっと構えた場所だと思ってた。けど、ここに来るとちょっと考えが変わる。ああ、寿司って生活の中にあっていいんだ、と。

「寿司、いこか」そんな一言の先に、この店を思い出せる自分でいたい。

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