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だし巻きと5品の小鉢と、布施の昼【日進食堂|定食屋】


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にぎやかな商店街から、ほんの少し脇道に入る。 そこには、ずっと変わらずに、誰かの昼ごはんを支えてきた定食屋さんがある。 「日進食堂」は、創業80年を超えるまちの食堂。

素朴だけど手を抜かない、そんな料理と、お母さんと娘さんの温かい声が出迎えてくれる。旅の途中で訪れても、なんだか懐かしい。そんな場所が、布施にはちゃんとある。

スポット情報
日進食堂
住所 大阪府東大阪市足代1-14-7GoogleMap
電話番号 06-6721-0635
営業時間 11:00~15:00
定休日 木曜日
喫煙可否 禁煙

商店街のにぎわいを背に

日進食堂 入口

布施のまちは、商店街がいくつも交差している。アーケードの下を、子どもが走っていき、自転車がするりとすり抜ける。揚げたてのコロッケの匂いや、八百屋の呼び込み。どこを切り取っても、生活の音がする。

日進食堂は、そんな通りから少しだけ外れた静かな路地にある。看板の下には、手書きのメニューが掲げられていて、すでにいい予感しかない。

木の扉を押して中に入ると、思ったより広々としていて、6つのテーブル席が整然と並ぶ。「いらっしゃいませ!」という元気な声に迎えられて、なんとなくほっとする。

言葉はなくても、“ここは大丈夫だ”って思える雰囲気って、たしかにある。

変わらない、でも進化している

日進食堂 店内

日進食堂の創業は、80年以上も前。今はお母さんと娘さん、二人三脚でお店を切り盛りしている。

昔ながらの定食屋らしい落ち着きがありながらも、小鉢の多さにはちょっと驚かされる。「これもどうぞ」と、お盆に乗ってやってくる小鉢たち。まずは4品。

冷たい煮びたしや、ちょっと甘めのこんにゃく田楽、シャキシャキの和え物……。

日進食堂 小鉢

どれも娘さんが毎日考えているメニューで、季節に合わせて内容が変わる。使う野菜は、近所の八百屋さんから仕入れているという。

こんにゃく田楽に使っている味噌は、複数の味噌をブレンドして作るこだわりよう。甘さ、コク、香ばしさ…いくつもの風味が重なって、口の中でふわっと広がる。

「小鉢って、ちょっとずつ色んな味が楽しめるから嬉しいよね」そんな気持ちを、形にしたような定食だ。

主役は、だし巻き卵

日進食堂 だし巻き定食

この日のメインは、だし巻き卵。ふわっと巻かれた卵を箸で割ると、中からじゅんわり出汁がにじむ。

しっかり味が染みてるのに、口あたりはやさしくて、なんだか落ち着く。お味噌汁と白ごはんのセットが、これを一層引き立ててくれる。

食べ終わったころに、最後の小鉢——野菜の天ぷらが登場する。揚げたてで、サクッと音がするほど軽い。「最後のお楽しみ」って、こういうことかもしれない。

まちの定食屋、まちの居場所

常連さんの中には、ほぼ毎日来るという人もいる。「メインは同じでも、小鉢が変わるから飽きないのよ」と笑うおばあちゃん。

日進食堂 グラスワインメニュー

昼からビールを頼むおじさんもいれば、グラスワインを頼む女性客もいる。ランチといっても、楽しみ方は人それぞれ。そういう自由さが、この店の魅力なのかもしれない。

ひとりでも、誰かとでも。しっかり食べたい日も、ちょっとだけくつろぎたい日も。この場所は、どんな気分も受け止めてくれる。

100年を目指す、ふたりの物語

日進食堂 看板

小鉢が5品になったのは、娘さんの代からのアイデアだという。最初は「サービスで」だったのが、いつの間にか「いつもの」に。そうやって少しずつ変わっていくのに、根っこは変わらない。

「できたら100年、続けたいね」そう話すふたりの横顔は、どこか似ている。

料理だけじゃなく、時間まで味わわせてくれるような場所。日進食堂は、これからもこのまちの日常に寄り添いながら、静かに時を重ねていくのだろう。

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