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SEKAI HOTELでの体験を作るのは、まちの腕の見せ所。たこ焼き屋店主が泊まって気づいた、布施の真髄

SEKAI HOTEL 大阪布施の特別宿泊企画『10000人の共飯者』

第1弾のゲストとして宿泊体験をした、たこ焼き店「丸幸水産」の店主・寺田さん。

ふだんは旅人を迎える“もてなす側”の立場から、今回は“宿泊ゲスト”として布施に泊まった寺田さんに、まちとホテルの関係、そしてまちごとホテルの宿泊体験の本質について語っていただきました。

「自分で民泊やろうとしてたんよ」から始まった関わり

もともと、布施の商店街で民泊をやろうとしてたんよ。ただ、なかなかうまく進まへんくて。そんなときに「商店街に宿泊施設がくる」って話を聞いて、それやったら自分で無理にやるより、そっちに協力しよう、と思ったんが始まりやね。

開業当時はやっぱり、外国人向けっていうイメージが強かった。自分らが考えてた民泊も、最初はそういう前提やったしね。でもコロナで状況が変わり、インバウンドが止まって、SEKAI HOTELも国内向けに発信するようになってからは、若い人や家族連れが増えていったやん。

寝るだけやなくて、まちを楽しむ「体験」として泊まりに来る人が増えている様子を見て、最初に自分が思い描いてた民泊とは全然違う、新しいホテルの形ができていってるんやなって感じてたね。

「SEKAI PASSは見えるようにした方がええ」って言った理由

SEKAI HOTELのゲストが首から下げているSEKAI PASS。
実は開業当初は手渡しで運用されていました。それを首から下げる形にしたのは、寺田さんからの提言がきっかけだったといいます。

うちの店に来てくれたお客さんが、SEKAI PASSをかばんから出すタイミングに困っててね。せっかく来てくれてるんやから、こっちとしてもちゃんと迎えたい。だから、「見えるところに下げてくれたらわかりやすいのに」って提案したんよ。

別にSEKAI HOTELの宿泊ゲストだから特別扱いしたいわけじゃないねん。ただ、「どんな返しをしたらウケるかな」とか、「どこでイジったろかな」とか、そういうのを考えるのが楽しいだけで。

たこ焼きが焼けるのを待ってる時間って、どうしてもできる。待ち時間も含めて、ちょっと一言添えるだけで「ああ、大阪らしいな」って感じてもらえたらええなって思ってる。

パスをつけて歩いてみてわかったこと

今回、自分がそのSEKAI PASSを首からあげて布施を歩いてみて、正直ちょっとおもろかった。

旅行者がつけてるのは自然なんやけど、知ってる街で自分がつけてると、ちょっとコスプレしてるみたいな感覚があって(笑)。あえて旅行者を演じてる感じがあった。

中でも一番印象に残ってるのは、夜に夕食会場として訪れた、居酒屋での出来事と続けます。

帰る前に、カウンターにいた常連さんが「どっから来たんですか?」って声かけてくれて。「すぐそこです」って答えたら、「そんな近くから、なんでや?」なんて会話が始まってね。

SEKAI PASSをつけてる人に「どっから来たん?」って声かけるのが、もう自然な流れになってるんや。常連さんも、知らん間にキャストになってると思う。

それって、店主たちが日頃から常連さんにSEKAI HOTELのことをちゃんと話してるからやと思うねん。その手間を店主やスタッフが当たり前にやってる。それが、SEKAI HOTELのスタッフが各店舗と築いてきた信頼関係なんやろうなって感じたね。

体験を作るのは、まちの腕の見せ所

正直な話、SEKAI HOTELができたからって、店の売上が大きく変わるわけではないねん。商店街って、もともと地元の人のための場所やから。旅行で来た人が毎日たこ焼きを買いに来るわけでもないしね。でも、それでええと思ってる。

SEKAI HOTELの役割は、外に布施のまちを伝えて、人を連れてくること。そこから先、実際に体験を作るのは、商店街の役割やねん。どんな店に行って、どんな時間を過ごすか。それは、まちの側の腕の見せ所やと思う。

たとえば、夕方の中途半端な時間に、家族で来てたこ焼きを何パックも買おうとしてる人がおったら、 「あ、この人ら晩ごはん決まってないな」ってわかる。

そういうときは、「この時間にたこ焼き食べるんすか?」ってあえて言うし(笑)。 「せっかく大阪来てるのに、もったいないですやん」って話になって、別のお店を紹介する。

そうすると、あとで「これからおすすめしてもらったお店行ってきます!」って言いに来てくれることもある。そういうやり取りが増えるほど、思い出も増えていく。それが、SEKAI HOTELと関わっていておもろいところやね。

ホテルとまちの役割は、はっきり分かれてる

ホテルが人を呼んでくる。まちが、その先の体験をつくる。役割は分かれてるけど、ちゃんと繋がってる。そこが布施の面白さやと思う。

今回、自分がゲストとして泊まってみて改めて感じたのは、店主と常連客が一緒になって、自然と体験をつくってるってこと。

見えへんけど、ちゃんとある関係性。それがあるから、ここでは「泊まること」がただの宿泊やなくて、まちを楽しむ体験に変わっていくんやと思う。そういうのが、布施のええところなんやろうな。