TOPICS トピックス
  • HOME
  • トピックス
  • コラム
  • 浄土のような静寂と、電気の洗礼――「第二寿湯」の午後【タナカカツキさん/エッセー第4回】

浄土のような静寂と、電気の洗礼――「第二寿湯」の午後【タナカカツキさん/エッセー第4回】

夕暮れ時、16時から17時にかけての『第二寿湯』は、えもいわれぬ凪(なぎ)のような時間が流れていた。本日3軒目の銭湯だが、電気を浴びまくってるせいか足取りも軽い。天候もおだやかでたいへん気持ちが良い。歩いてるだけでととのいそうになったが、花粉症でのどがイタい。唾をごくんと飲み込んだら針で刺すイタさ!サウナも電気風呂も花粉症には効き目がないらしい。恐ろしき花粉症め!

のれんを潜り、浴室へ足を踏み入れると、先客はわずか三人。この贅沢な空間の余白が、一日の疲れを静かに解きほぐしてくれる。視線を向ければ、しっかりと蒸気の回ったスチームバス、もう一室は「森のサウナ」と銘打たれた備長炭の低温サウナ室。驚いたことに、これほどの設備がありながら追加料金は不要だという。サウナファンにとってはありがたい。さて、私の目当ては電気風呂である。

パッと目をやると、そこにはすでに先客があった。白髪のご年配者が電極板に背中をべったりと預けている。微動だにしないその佇まい、まるで電流と一体化した精霊のよう。

「電極版にべったりか……。やるな」

きっと常連客だろう。彼の日常のルーティンを邪魔するわけにはいかない。私は新参者として、彼が静かに立ち去るのを、主浴槽の縁でじっと待った。

ご年配者が満足げに湯を去り、ついに私の番が来る。
電極板はコニシ製。関西の銭湯ファンにはお馴染みの、あの鋭い刺激で知られる名門ブランドだ。覚悟を決めて身を沈めたが、意外にもその肌当たりは柔らかかった。

「おかしいな、コニシなのに、嫌なキツさがない……」

後で番台に尋ねて合点がいったのだが、なんとこれはコニシの最新版なのだという。揉み、叩き、押し。一分ごとに緻密に計算されたリズムが切り替わり、凝り固まった筋肉を内側からノックする。まるで熟練のマッサージ師に、指先では届かない深部を叩かれているような感覚だ。電流が一巡する三分間。そのリズムを全身で数え上げ、一巡を確認すると、電気風呂から水風呂へ移動。電気で火照った神経を、冷水がキュッと引き締める。これぞ「電冷浴」の極致だ。

というわけで、三軒の銭湯を一日で巡り、サウナ浴と電冷浴を楽しんだわけだが、こんな遊びは子供の頃は想像もしていなかった。