TOPICS トピックス
  • HOME
  • トピックス
  • コラム
  • サウナのメッカで「電気」に浸る「なにわ健康ランド 湯〜トピア」【タナカカツキさん/エッセー第3回】

サウナのメッカで「電気」に浸る「なにわ健康ランド 湯〜トピア」【タナカカツキさん/エッセー第3回】

次に向かったのは、サウナ界隈で「なにけん」の愛称で親しまれる有名店『なにわ健康ランド 湯〜トピア』だ。

実を言えば、ここを訪れるのは随分と久しぶりで、記憶も朧げだった。今の「なにけん」をしっかり体感したい。そんな思いで暖簾をくぐった。

まず目を引くのは、あの有名な館内着だ。アロハシャツのような独特の柄は、一般的なワンカラーの館内着とは一線を画している。この服を着るだけで「ととのい」の記憶が呼び覚まされ、リラックスするというファンも多い。快楽の記憶と結びついた、いわば「幸福の戦闘服」のようなものだろう。

館内は20代から40代の熱心なサウナーたちで溢れかえり、広いサウナ室もひしめき合うほどの盛況ぶりだった。だが、私の目的はサウナではない。電気風呂だ。皆がサウナへ、水風呂へと流れていく中、電気風呂だけはぽっかりと静寂のエアポケットのように私を待っている。これこそ「電気風呂チャンス!」である。

驚いたのは、その広さと設計だ。
「なにけん」の電気風呂は、とにかく規格外だった。通常、電気風呂といえば「一人用の狭いブース」が相場だ。しかし、ここの浴槽は四人が同時に入れるほどに広い。そして何より特筆すべきは、電極板までの距離、すなわち「引き尻」の長さである。「電気は怖いが、興味はある」という初心者にとって、これほど優しい設計はない。私はいつものように、エビのように腰を丸めた姿勢で、遥か彼方の電極板を見据える。そこから数センチ単位でじりじりと、慎重に距離を詰めていく。この「なにけん」の電気風呂をさらに唯一無二にしているのが、その「不感設定」だ。水温は体温とほぼ同じ37度前後。さらに水深が浅い。
熱くも冷たくもないため、温度による情報が遮断され、脳には純粋な「電気の波」だけがダイレクトに届く。

「ブワーッ……」
全身の粒子が震えるような、圧倒的な電気の愛撫。

深いリラックス状態にある身体に、電流だけが浸透していく。温度のストレスがない分、電気と自分とが一対一で対話しているような、底なしの幸福感に包まれる。さらに、なにけんの真骨頂は、その後の「冷」へのこだわりだ。大量の水を一定の低温に保つほうが、お湯を沸かすよりも遥かにコストも技術も必要、ここに惜しみなく投資されていることが、肌に刺さるほどの冷水から伝わってくる。電気で痺れた神経を、一級品のチラー(冷却装置)が冷やし抜いた水風呂で一気に締め、露天エリアの豊富な休憩スペースで天を仰ぐ。1セッション目を終え、2セッション目の電気のターンで、偶然知り合いに会う!大阪のサウナ界隈では有名人のお三人さん「いやーぐーぜん!ぐーぜん!」サウナプロデューサーの翔くんと、3月7日のサウナの日に入籍をしたショータくん、サウナ施設の宴会場で結婚式を挙げたビリーくん。全員狂ってる。そんな人たちを引き合わせてしまうのも「なにけん」パワーなのだった。